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【医師が教える】ワキガ・多汗症は治療できる!治療法選択の手引き

2017.09.7
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はじめに

ワキガ・多汗症にお悩みの方は多くいらっしゃいますが、汗や汗の臭いはデリケートな問題だけに、誰にも相談できず精神的な負担になることも。   しかし、ワキガや多汗症は適切な治療によって解消することができます。しかも最近では治療法の選択肢が広がり、再発のリスクなく確実に治療することが可能です。   本記事ではワキガ・多汗症治療について詳しく解説し、悩みをもった方々が様々な治療法を知り、自分にあった治療法を選択するための参考になればと思います。

ワキガ・多汗症とは?

ワキガは、「腋臭症(えきしゅうしょう)」とも呼ばれ、文字通り、ワキから臭いを発する症状をさします。ワキの下や乳輪付近、ヘソ周り、陰部などに分布する「アポクリン腺」という汗腺が発達した人に症状があらわれやすく、アポクリン腺から分泌された汗の分泌物が常在細菌と反応することで発せられる独特の臭いが強い症状をワキガといいます。     また多汗症は、体質や精神的なストレス、食生活やホルモンバランスの乱れ、その他の疾病などにより、交感神経が正常に働かなくなった結果、必要な量を超えて異常に発汗する症状をさします。   ワキガ・多汗症の原因・症状詳細は【ワキガ・多汗症セルフチェック!〜汗の悩みを抱える方へ】を参照(別ページへ→)  

ワキガ・多汗症の与える精神的ストレス

制汗剤などをこまめに使用して汗のケアを行ったり、消臭成分の含まれた衣類を着用するなど、ワキガや多汗症による汗の臭いを自己ケアでできるだけ抑えるようにすることはある程度可能です。   しかし、ワキガの原因は生まれながらの体質や遺伝的な要素によるところが大きいため、清潔にしていないから臭うとか、食生活や生活リズムなどの改善によって解決できるというような一過性の問題ではありません。   それゆえ、自分でできるケアを最大限行っても周囲の反応が気になり、人とのコミュニケーションに積極的になれず、解消し難いストレスを抱えてしまうことも少なくありません。  

ワキガ・多汗症は治療できる

ワキガ・多汗症は適切な治療によって解消できます。ワキガの臭いの原因となる汗を分泌するアポクリン汗腺を取り除くことにより、ほぼ永久的に治療できます。   ワキガの程度には軽度のものから、近くに寄らなくても臭いを感じる重度のものまであり、程度や、本人の希望とライフスタイルに合わせて様々な治療法が選択できます。  

ワキガ・多汗症治療

ワキガ・多汗症治療は、「切る治療」と「切らない治療」とに分類されます。   さらに、「切る治療」の中にも様々な手術方法があり、「切らない治療」はレーザーによる治療、注射による治療に分かれます。以下ではワキガ・多汗症治療について詳しく解説していきましょう。  

【切る治療】ワキガ・多汗症手術

① 組織削除法(剪除法・皮弁法)

ワキガ・多汗症治療の中で再発のリスクが少なく、最も確実な方法が剪除法による組織削除法という切開手術による治療です。「ワキガ剪除法」、「皮弁法」、「反転法」などとも呼ばれます。   汗腺は、皮下に肉眼で確認することができます。「組織削除法」では腋窩(ワキの下)を3〜4cm切開し、皮膚を反転させて、ワキの汗や臭いの原因となるアポクリン腺を医師が直視下で確認し、ハサミを用いて除去していきます。     アポクリン腺を除去することにより、臭いだけでなく発汗量も減少し、またエクリン汗腺も可及的に除去されるため、多汗症にも効果があります。ワキの皮下の毛根も除去するため、ワキの永久脱毛の効果も得られます。   ワキの皮下に存在する汗腺を直視下で確認しながらしっかりと取り除くため、取り残しによる再発の心配がなく、ワキガ・多汗症の治療中、最も確実で信頼性の高い根治治療と言えるでしょう。     「腋臭症」治療として、保険適用も可能な手術で費用面の負担が少なく、最大限の効果を得られる治療法ですが、切開を行うため傷跡ができることと、術後、7日間程度ガーゼによる圧迫固定を行うので腕を自由に動かすことができないなどのダウンタイムがデメリットとして挙げられます。  

② その他の切除手術

ワキガ・多汗症の外科的治療には、剪除法(皮弁法)による組織削除法の他、皮下組織吸引法、超音波吸引法などの方法があり、切開範囲を1cm程度の最小範囲に抑え、細い管を通して汗腺を吸い取ることにより治療します。   しかし、これらの治療は剪除法のように汗腺を直視下で確認して取り除く方法ではないため、取り残しの可能性があり、再発のリスクが高くなります。  

【切らない治療】レーザーによるワキガ・多汗症治療

①ミラドライ

  ミラドライは、切開を行わず、汗腺の機能を失わせるマイクロ波を外側から照射する治療法です。中度〜重度のワキガ・多汗症に対して効果的で、剪除法による組織削除手術に近い効果が得られます。   ミラドライはアメリカのFDA(米国の厚生労働省のような機関)の認可を取得しており、効果、品質、安全性の高い医療機器です。ミラドライに使用されるマイクロ波は、水分に反応して熱を発する特徴があるため、水分の多い汗腺にのみ作用し、周辺組織にはほとんどダメージを与えません。   汗腺は、皮下2〜3mmの層に多く存在し、その深さに集中して照射され、皮膚表面から真皮層にかけては冷却システムによって守られ、熱の及ぶ深さや照射幅を最適に制御されるよう設計されているため安心・安全です。   皮膚表面を傷付けることはありませんが、汗腺に熱を加えるため、施術後数日間、ワキのむくみと熱傷感を感じることがあります。一度壊れた汗腺は再生しないので、手術同様に半永久的な効果をもたらします。   ミラドライも手術同様、汗腺を破壊する治療であるため、臭いのみでなく多汗にも効果があります。腋窩の毛根にも作用するため、ワキ毛の脱毛効果も得られます。     「ミラドライによる治療を受けたが、ワキガが再発した」というような情報もありますが、ミラドライによって一度破壊された汗腺が再生することはありません。よってミラドライの治療後、また臭いが出てきた、汗の量が増えたなどの症状があらわれるのは再発ではなく、照射漏れした汗腺の働きが強まり、臭いや多汗が再度起こることによるものです。   ミラドライは照射前に患者様それぞれのワキの形にあったシートを選択してマーキングし、それに沿って正確にデータ制御された状態でマイクロ波を照射するため、照射漏れのリスクは極めて少なく、1度の照射で70%以上の汗腺を破壊できるという臨床データがあります。そのため再発のリスク(汗腺の照射漏れ)は極めて低い安心な治療法です。   手術と同じ効果を得られながら、切開を行わないためダウンタイムの心配がなく、また傷跡も残さないというメリットがある一方、保険適用外の治療であるため費用は組織削除法よりも高額となる点がデメリットといえるでしょう。  

② ビューホット

ミラドライ以外のワキガ・多汗症治療用レーザーとして有名なのがビューホットです。   ミラドライは、ワキの汗や臭いを治療する機械としてワキへの治療のみを行うことを推奨された機械であるのに対し、ビューホットは、ワキ以外にも手の平、足の裏、乳輪まわり、すそワキガの治療にも適用されるのが特徴です。   よって、ワキ以外の箇所の多汗や臭いにお悩みの方には検討の価値がある施術ですが、2014年に導入されたばかりの新しい治療であるため、信用にたる治験データが少なく、FDAなどの機関による認証も受けていません。また、照射後皮膚表面に木綿豆腐のような色素沈着が残り、改善までに数週間〜数ヶ月かかることがあります。  

【切らない治療】ボトックスによるワキガ・多汗症治療

「ボトックス」という呼び名は、一般名称「A型ボツリヌス毒素製剤」の特定のメーカーの商品名ですが、美容医療の使用では「ボトックス」という呼び名が一般化しているため、ここでは「ボトックス」と呼びます。     ボトックスには、神経の末端から分泌される伝達物質「アセチルコリン」の分泌を抑制する働きがあります。アセチルコリンは交感神経の末端で発汗を促しているため、このアセチルコリンの分泌をボトックス注入法で抑制することで、過剰な汗の分泌を抑え、多汗症の症状を改善することができます。   ワキのみでなく、手の平や足の裏などの多汗症治療にも有効です。あくまで「汗の分泌を抑制する」作用のみですので、汗腺を破壊するなどの根治治療ではありません。しかし、汗の分泌量を抑えることにより、汗の拡散を防ぐので、結果的にワキガの臭いも抑えるという効果も得られます。     手術のように傷跡やダウンタイムを気にせず、気軽に受けられる治療である一方、効果の持続期間は3~6ヵ月間のみで、根本治療とは言えないことと、3〜6ヵ月毎に再注射を繰り返した場合、結果的に費用がかさむというデメリットがあります。  

各治療法の比較

ワキガ・多汗症治療は、切開手術、レーザー治療、ボトックス注射による治療から選択できます。費用や効果はもちろん、術後のダウンタイムなどを考慮して、自分に最適な治療方法を選択しましょう。   ワキガに対しては、術後の傷跡のケアや、ダウンタイムのための時間を十分にとれるなら、最も確実な根治治療である剪除法による手術を選択されると、保険適用も可能なため、費用も安く治療が可能です。   傷跡を残すのは嫌、ダウンタイムがとれないという方にはミラドライがおすすめですが、保険外の自費治療となるため、費用面では切開手術より負担が大きくなります。   ボトックスによる治療は主に多汗症治療に有効ですが、汗の量が減ればワキガの臭いも軽減できます。手術やミラドライを受けるのに、時間的、経済的な余裕がまだないという方は、一旦ボトックスで様子を見るのもいいでしょう。ただし、効果は永続的でないため、繰り返しの治療が必要になることを考慮しましょう。    

悩まずにまずは相談を

ワキガ・多汗症は治療できます。デリケートな悩みだけに、クリニックに相談に行く第一歩にも勇気が必要だと思います。   しかし、美容クリニックや形成外科などでは決して珍しくない相談です。   カウンセリングは無料で行っているクリニックが多いと思うので、まずは気軽に診察を受けてみましょう。一人で悩まず、貴方にあった最適な治療法を提供してくれる安心のクリニックを見つけられることを祈っています。  
筆者:恵聖会クリニック理事長 鬼頭 恵司