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【医師が教える】ボトックス治療の色々

2017.08.31
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はじめに

ボトックス。一昔前に比べて、美容医療がそれほど特殊なものでなくなってきた昨今では、「ボトックス」という言葉は誰しもが耳にしたことのある名前で、美容医療で行われるボトックス注入による施術は、美容施術の中でも代表的な治療といえるでしょう。  

ボトックスとは

botox2 そこで、「ボトックス」と言われるこの治療ですが、実は「ボトックス」という呼び名は、ある特定のメーカーの販売する、特定の治療薬の呼び名、すなわち商品名であり、一般名ではないことをご存じでしょうか。   一般名である絆創膏が、商品名バンドエイド(ジョンソン・アンド・ジョンソン社)やカットバン(祐徳薬品工業株式会社)と呼ばれたりするのと同じことで、「ボトックス」の一般名は「A型ボツリヌス毒素製剤」です。   「A型ボツリヌス毒素製剤」は、実は様々な会社からそれぞれの商品名で販売されているのですが、特定の商品名である「ボトックス」がもっとも一般化し、美容医療においては特に、「A型ボツリヌス毒素製剤」による美容治療を「ボトックス」治療と呼ぶのが一般的です。   それでは、美容医療で「ボトックス」と呼ばれているものには、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なものは以下の3つです。  

ボトックスビスタ

アラガン・ジャパン社の商品です。「ボトックスビスタ」は厚生労働省が国内で初めて美容領域での使用を認可したものです。  

ニューロノックス

韓国のMedytox社の商品です。日本での承認はありませんが、韓国での厚生労働省にあたるKFDA(韓国食品医薬品安全庁)が認可しています。  

ゼオミン

ドイツのメルツ社の商品です。日本での承認はありませんが、欧州のCE、米国のFDA(いずれも日本の厚生労働省にあたる機関)、韓国のKFDAの認可を取得しています。     また、保険適応の治療で使用できるものが以下です。  

ボトックス

グラクソ・スミスクライン社の商品です。こちらは保険適応で眼瞼痙攣や痙性斜頸、重度の原発性腋窩多汗症(ワキガ・多汗症)などの治療に使用することを厚生労働省が認めています。  

美容医療におけるボトックスの効果・効能

先の通り、一般名と商品名をお話しした上では、本来ならば「A型ボツリヌス毒素製剤の効果、効能は…」と説明すべきところでしょう。しかし、これほどまでに「ボトックス」が一般名化されていることから、本稿では上記をご理解いただいた上で、便宜上、「ボトックス」という呼び名を使って説明を進めていきたいと思います。   さて、この記事を読まれている方は下記のようなお悩みをお持ちではないでしょうか。     ① いつも怒ったような表情をしているように見られる   ② おでこに無数のしわがある   ③ 目周りのファンデーションのよれがひどい   ④ えらが張って顔が四角く見える   ⑤ 年齢の割に口周りが老けている   ⑥ 痩せているわけではないのに首だけが痩せているように見える   ⑦ 脇汗、手の平、足の裏の汗が非常に多い   ⑧ ふくらはぎが太い     上記のお悩みはいずれも、ボトックス治療により改善できる可能性があります。  

ボトックスの作用

様々なお悩みに対して、ボトックスがどのように作用するのかを見ていきましょう。   上記で述べたお悩みは、大きく分類して、「筋肉」の悩み(眉間、おでこ、目の周り、口元、首などのシワ、エラ張り、ふくらはぎ)と「汗」の悩み(ワキ・手の平、足の裏の汗)に分類できます。   筋肉は運動神経からアセチルコリンという神経伝達物質が出ることにより、そのシグナルを受けて収縮します。ボトックスは運動神経が筋肉に作用しようとする神経終末部位に作用してアセチルコリンがでることを阻害するので、シグナルを受け取れない筋肉は収縮せず、弛緩(緩んだ状態)したままになります。   つまり、ボトックスを注射することにより、作用させたい筋肉の動きを止めるのです。   上記はそれぞれ、   ① 眉間のシワ→皺眉筋および鼻根筋   ② おでこのシワ→前頭筋   ③ 目の周り(目尻)のシワ→眼輪筋   ④ エラ張り→咬筋   ⑤ アゴの梅干しジワ→オトガイ筋   ⑥ 首のたて筋→広頚筋   ⑧ ふくらはぎの張り→腓腹筋   が原因となっている可能性が極めて高いため、過度に収縮してしまうそれぞれの筋肉にボトックスを注射することでその過度な収縮を抑えると、シワや筋肉の盛り上がり、たて筋ができにくくなる、あるいはまったくできない、という効果があらわれます。   ⑦の多汗については、汗腺に対して汗の分泌の信号を送る神経伝達物質がアセチルコリンであるため、ボトックス注入によってアセチルコリンの放出を抑えることで、汗の分泌量が減少するという効果が期待できます。  

ボトックスのデメリット

手軽な注射という治療で効果が得られることから、プチ整形の範疇に入るこのボトックス治療ですが、プチ整形であるがゆえのデメリットもあります。  

デメリット1

注射による治療であるため、内出血、針跡が起こる可能性があります。一時的なもので、経過とともに自然消退します。  

デメリット2

筋肉が動かないことによって違和感を感じることがあります。特にボトックス治療を初めて受ける場合は違和感を感じる可能性が高いでしょう。こちらも経過とともに慣れてきて、違和感を感じなくなることがほとんどです。  

デメリット3

効果の持続期間には限度があります。個人差はありますが、通常、3~6ヶ月程度でボトックス治療の効果は薄れていきます。これは、神経伝達をブロックされた神経から、新しい神経の枝ができて筋肉に接合すること、および、ブロックされた神経自体も機能が回復してくることが理由です。そのため、効果の持続を希望する場合には、定期的な治療が必要となります。  

デメリット4

眼瞼下垂のある方に額のボトックス注射をすると、額の筋肉の動きが止めることでシワ自体は改善しますが、全体に額が下がるため眼瞼下垂の症状がひどくなる場合があります。眼瞼下垂症の症状に心当たりのある方は、ボトックス注入によって影響が出ないかどうか、しっかりと医師に確認してから施術を受ける選択をしましょう。  

ボトックス治療を受けられない場合

ボトックスは安全性が証明された治療ですが、ボトックス治療が適さない症状、状態には注意が必要です。以下に該当する場合は、ボトックス治療を受けていただくことはできません。   ① 全身性の筋接合部の障害を持つ患者様 (重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)   ② 妊婦、または妊娠している可能性のある婦人、妊活中の方、及び授乳婦   ③ ボトックスの成分に過敏症のある患者様   ④ 他のボトックス製剤で治療中の患者様  

ボトックス以外の治療法

ボトックスは筋肉を弛緩させる作用によってシワを改善する治療法であるため、主に表情によって現れるシワを改善するものです。しかし、表情筋の動きによるものでないシワ、すでに深く刻まれてしまった法令線やマリオネットライン、ゴルゴラインなどのシワや、目の周りのちりめんジワに対しては、ボトックス以外の注入による治療やレーザー治療などが効果的な場合があります。   また、同じボトックスでも、皮膚を引き締め、ハリ・ツヤを出すような「マイクロボトックス」という治療法があり、マイクロボトックスは微量のボトックスを皮膚の浅いところに細かく注射します。   筋肉の発達によるエラの張りやふくらはぎの盛り上がりは、ボトックス注入によって筋肉を減退させることで改善できる症状ですが、小顔や美脚を妨げる原因が脂肪である場合は、脂肪を溶解するための注射療法やレーザー治療、脂肪吸引術などが適用となります。また、エラ骨の張りについては骨削り手術などが適用となります。  

まとめ

いかがでしたか?ボトックスには幅広い効果・効能があり、シワなどの美肌治療、筋肉の盛り上がりを減退させる痩身作用、ワキガ・多汗症治療など、様々な症例に適応する可能性がある治療法です。   あなたの悩みを解決するのがどんな治療なのか、ボトックス注入によって改善できるものなのか、信頼できるクリニックで相談すること、またクリニック選びの際は、プチ整形から本格的な美容整形手術まで、幅広い治療の選択肢を用意しているクリニックを選ぶことをお勧めします。   Dr Amaki 筆者:恵聖会クリニック 天木 理恵